円仁会株式会社の上村です。

訪問看護ステーションを9拠点運営する中で、最近あらためて感じていることがあります。

それは「事業所ごとに最適な形は違う」ということです。

多拠点展開を進めていると、どうしても「理想的な人員配置」「標準的な組織構成」を作りたくなります。

しかし実際の現場を見ていると、その考え方だけではうまくいかないことが少なくありません。

例えば、

Aステーション
  • ケアマネジャー:8名
  • 看護師:10名
  • 理学療法士:6名

という体制が地域ニーズに合致し、自然に機能しています。

Bステーション
  • ケアマネジャー:2〜3名
  • 看護師:8名
  • 理学療法士:3名

程度の規模感が最も効率的で、地域から求められる役割にも適しています。

「理想の形」を探していた頃

以前は、どの事業所にも共通する「理想の形」があるのではないかと考えていました。

しかし実際には、地域によって求められる機能が大きく異なります

医療依存度の高い利用者が多い地域もあれば、生活期リハビリのニーズが中心となる地域もあります。

また、

  • 居宅介護支援事業所との連携が重要な地域
  • 看護力そのものが評価される地域
  • 医療機関との連携が強い地域
  • 介護事業者とのネットワークが重要な地域

など、地域特性は実にさまざまです。

さらに、

  • 管理者の強み
  • 採用できる人材
  • 連携先の文化
  • 地域に根付く支援体制

も拠点ごとに異なります。

標準化だけでは強い組織にならない

こうした違いがある中で、すべての拠点を同じ形に揃えようとすると、どこかに無理が生じます。

もちろん、運営ルールや品質管理、法令遵守などについては標準化が欠かせません。

しかし、人員構成やサービス提供の比重、地域との関わり方まで完全に統一してしまうと、現場の強みや特色まで失われてしまうことがあります。

私は、多拠点経営において本当に重要なのは、

「標準化する部分」と「地域に合わせて変える部分」を明確に分けること

だと考えています。

少しの“歪み”は地域適応の結果

事業所ごとに少しずつ違いがあることは、必ずしも課題ではありません。

むしろ、その違いは地域に適応した結果であり、その地域に必要とされる事業所へ成長してきた証かもしれません。

経営では標準化が重要だと言われます。

それは間違いありません。

しかし、標準化の目的は現場の個性をなくすことではなく、安定した品質を維持しながら地域に合った価値を提供するための土台をつくることです。

地域のニーズを活かす組織設計を

訪問看護は地域密着型の事業です。

だからこそ、全国どこでも通用する一つの正解を追い求めるのではなく、それぞれの地域が抱える課題やニーズを理解し、その地域に合った組織を設計していくことが重要だと感じています。

私たちは今後も、共通の理念や運営基盤を大切にしながら、各拠点が地域に最適化された形で成長できる組織づくりを目指していきます。

訪問看護の経営において大切なのは、「正解を押し付けること」ではありません。

地域ごとの違いを理解し、そのニーズを活かせる仕組みを設計すること。

その積み重ねが、地域から必要とされる事業所づくりにつながるのだと思います。

円仁会株式会社 上村

訪問看護・在宅医療の現場経験をもとに情報発信しています。

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