
円仁会株式会社の上村です。
今回は[訪問看護の収益性は移動設計で変わる ― 年収800万円を目指すために考えるべきこと]について、お話します。
訪問看護の収入は、経験やスキルによって決まると思われがちです。
もちろん専門職としての知識や技術は重要です。しかし、訪問看護の現場を長く見ていると、収入や生産性に大きな影響を与える要素がもう一つあることに気付きます。
それが「移動手段」です。
当社では以前から、訪問看護の収益性は個人の努力だけではなく、仕組みや構造によって大きく左右されると考えています。
その中でも移動設計は、比較的コントロールしやすく、成果につながりやすい重要な要素の一つです。
訪問看護は訪問時間が収益を生む
訪問看護の売上構造は非常にシンプルです。
訪問時間が増えれば売上は増え、訪問時間が減れば売上も減ります。
そのため、1日の勤務時間の中でどれだけ訪問時間を確保できるかが重要になります。
ここで課題になるのが移動時間です。
移動時間が長くなると、その分だけ訪問できる件数が減少します。
反対に移動時間を短縮できれば、同じ勤務時間でもより多くの利用者へサービスを提供できるようになります。
つまり、訪問看護の収益性を考える上で「移動効率」は避けて通れないテーマなのです。
車移動が必ずしも最適とは限らない
一般的には車移動が効率的と思われることが多いかもしれません。
しかし、都市部では必ずしもそうとは限りません。
例えば横浜市のような人口密集地域では、
- 駐車場を探す時間
- 渋滞による遅延
- 駐車と乗り降りの繰り返し
- 狭い道路での移動ストレス
といった要素が積み重なります。
一つひとつは数分でも、1日単位で見ると大きなロスになります。
結果として、想定より訪問件数が伸びないケースも少なくありません。
都市部では自転車が有効な選択肢になる
一方で、訪問エリアが一定範囲に集中している場合、自転車は非常に効率的な移動手段になります。
自転車には、
- 駐車スペースを探す必要がない
- 細い道路や住宅街でも移動しやすい
- 最短ルートを選択しやすい
- スケジュールの調整がしやすい
といった特徴があります。
その結果、移動時間を短縮しやすくなり、訪問密度を高めることができます。
現場によって差はありますが、1日の訪問時間を30分でも増やせれば、年間では大きな差になります。
この積み重ねが、スタッフの収入向上や事業所全体の収益改善につながります。
理想は「徒歩圏+自転車圏」のエリア設計
さらに効率を高めるためには、移動手段だけでなくエリア設計も重要です。
利用者が一定地域に集中している場合、
「徒歩圏+自転車圏」
で訪問を完結できる可能性があります。
移動距離が短くなれば、
- 訪問件数の増加
- 残業時間の削減
- スタッフ負担の軽減
- 利用者対応の柔軟性向上
といった効果も期待できます。
訪問看護においては、単に利用者数を増やすだけではなく、「どこに利用者がいるのか」というエリア戦略も重要な経営課題です。
移動手段だけで収入は決まらない
もちろん、収入を左右する要素は移動手段だけではありません。
例えば、
- 報酬単価の設計
- インセンティブ制度
- 利用者構成
- キャンセル率
- 記録業務の効率化
- 多職種連携の仕組み
なども大きく影響します。
しかし、これらの中でも移動設計は経営側が比較的改善しやすい領域です。
だからこそ、まず取り組む価値があります。
収入向上の前に「移動設計」を考える
訪問看護の収益性を高めるためには、スタッフに頑張ってもらうことだけが答えではありません。
重要なのは、より効率的に働ける環境を設計することです。
当社では、
「利益は設計できる」
「働きやすさも設計できる」
と考えています。
移動手段やエリア戦略は、その代表的な要素の一つです。
年収800万円という目標も、精神論や根性論ではなく、日々の移動効率や運営構造の積み重ねによって実現に近づいていくのではないでしょうか。