– 自立した人材が、自走する組織をつくる –
P r o l o g u e
自立とは、自ら考え、判断し、
行動できること。
これが、まるっとけあが定める
「自立」の、ただ一つの定義です。
業務をこなす管理者ではなく、
組織を前へ進める管理者を。
私たちが目指しているのは、
現場を見て、考え、判断し、対話し、
人を育て、組織を前へ進められる
管理者です。
訪問看護には、毎日、
正解のない判断があります。
だからこそ、
「考える管理者」が必要になります。
誰かの指示を待つだけでは、
現場は守れない時代になった。
— 変化は、待ってくれない—
AIの進化。制度改定。人材不足。
価値観の多様化。地域包括ケアの変化。
これまでにないスピードで、
私たちの足元は動き続けている。
まるっとけあが考える「自立」
一人で抱え込むことではない。
自ら考え、判断し、行動し、
必要な時に助けを求められること。
手順ではなく、在り方を。
「管理者が管理者を育てる組織」をつくるための、七章。
思想
なぜ「自立した人材」が
必要なのか
現場
管理者は何を見るべきか
判断
正解のない時代に
どう決断するか
対話
人と組織を、
どう動かすか
経営
現場を守るために、何を理解するべきか
育成
人を育てる管理者とは何か
救済
自立と孤立は、違うということ
目的は、ただひとつ。「自立した人材が、自走する組織」を実現すること。
Chapter01 ―第1章―
まるっとけあが、求める管理者
「管理する人」ではなく、“現場を前に進める人” である。
業務を、回す。
シフトを組む。
クレームに応える。
指示を伝え、調整する。
― それらも、たしかに大切。
違和感を、拾う。
最近、空気が重い。
会話が減った。
負荷が偏っている。
― 数字にならない、最初の信号。
空気を、整える。
管理者が前を向けば、現場も向く。
管理者が諦めれば、現場も止まる。
― 空気は、自然にはできない。
管理者の姿勢や言葉は、
そのまま、
現場の空気になる。
管理者が不安になれば、現場も不安になる。
管理者が前を向けば、現場も少しずつ前を向き始める。
違和感は、いつも
小さな声で、やって来る。
-「最近、空気が重い」「会話が減っている」「特定スタッフに負荷が偏っている」
-「新規依頼への反応が鈍い」「クレームが増え始めている」「”どうせ言っても無駄”が増えている」
こうした小さな違和感は、放置すると、やがて大きな問題になります。
管理者の最初の仕事は、気づくことです。

「なんとなく、大変」
「なんか、うまくいかない」
― 感覚のままでは、共有も改善もできない。―

何が起きているのか。
何を優先すべきか。
何を改善すべきか。
― 見える化されてはじめて、人は動ける。―
“嫌われない” を選び続けると、
組織は、静かに停滞する
— 静けさという名の、危険 —
問題が見えていても、見て見ぬふりをする。
言うべきことを、言わない。
改善を、後回しにする。
表面上、現場は静かです。
けれど、本音が消え、違和感が埋もれ、頑張る人だけが、ひとりで疲弊していきます。
— 本当に危険なこと —
意見がぶつかること、ではない。
問題があるのに、誰も向き合わなくなること。
摩擦をゼロにすることが、
良い組織ではない。
違いがあっても、
対話できる組織。
管理者には、耳の痛い話を伝える覚悟が要る。
それは、相手を否定するためではない。” 現場を良くしたい” という意思があるから。
管理者とは、” 自分の言葉” を持つ人

「会社が、こう言っているので、やってください」
― 熱は、伝わらない

「自分は、こういう理由で
必要だと、思っている」
― 想いが、伝播する
管理者は、伝達係ではない。
” 想いを伝播させる人” である。
現場を見て、空気を整え、
人を育て、経営と現場を、つなぐ。
疲弊。抱え込み。温度差。
数字では見えない、小さな変化に気づく。
表情、言葉、態度、反応。
管理者から生まれるそれが、現場の空気そのもの。
任せる。問いかける。
考えさせる。振り返る。
― “考えた量” だけ、人は育つ。
利用者数。稼働。単価。加算。
経営視点と現場感覚を、両立させる橋渡し役。
どれか一つだけでは、
組織は機能しない。
四つを束ねて、
はじめて「管理者」となる。
Chapter02 ―第2章―
なぜ、トップダウンにしないのか
― 強い組織と、育つ組織は、同じではない。
―
判断基準が、揃う。
認識のズレが、減る。
意思決定が、速くなる。
たしかに、組織が育つ過程では、
トップダウンが必要な場面もある。
現場から、
“思考” が消えていく。
考えなくても仕事ができるとき、
人は、考えるのをやめる。
「どうしたら、いいですか?」
「決めてください。」
「言われた通り、やりました。」
一見、素直で従順な組織。
けれど、利用者様のご自宅で起きるその一瞬を、
“指示待ち” では守れない。
任せる
≠
放置
任せるとは、責任を押し付けることでも、
好き勝手やらせることでもない。
管理者として、何を目指し、何を大切にし、
どこまでが許容範囲か。
その土台を示した上で、「どうやるか」を、
本人に考えてもらうこと。
任せるとは、「考える機会を与えること」。
人は、指示された量ではなく、
“考えた量” で育つ。
なぜ、そう考えたのか。
他の方法は、なかったのか。
次に活かせることは、何か。
― 訪問看護は、毎日が応用問題。だから、考える機会を増やすことが、最大の人材育成になる。
「トップが優秀な組織」ではなく、
「現場が成長し続ける組織」を。
答えを待たず、
自分の頭で。
条件のなかで、
今の最善を選ぶ。
違いを、
言葉にして交わす。
考える機会を、
分け合う。
この四つを、
管理者自身が実践したとき
– はじめて、自走は始まる。
Chapter03 ―第3章―
管理者に必要なのは、”判断”。
― 正解を当てる人ではなく、今の最善を選ぶ人。 ―
“問題が起きた時に考える人” ではない。
日常の中で、判断し続ける人である。
利用者様の、特別な要望に。
担当変更の希望に。
スタッフの相談に。
新規依頼を、受けるかどうかに。
オンコール体制の組み方に。
クレーム対応に。
利用者様の満足度。
スタッフの働きやすさ。
チームの雰囲気。
ステーションの運営。
― すべては、その判断の総和。
正解を当てる人ではなく、
“今の最善” を選ぶ人。
管理者の仕事/TheManager’sWork
限られた条件の中で、
「何を優先するか」を、
決めること。
トレードオフ/Trade-off
利用者様を優先すれば、
スタッフ負担は増えるかもしれない。
スタッフを守れば、
要望に応えきれないことがある。
採用を急げば、教育が追いつかない。
— 管理者の仕事 / T h e M a n a g e r ‘ s W o r k
限られた条件の中で、
「何を優先するか」を、
決めること。
迷わないこと、ではない。
迷ったまま、止まらないこと。
十分に、考える。
決める。
責任を、持つ。
振り返り、次に活かす。
完璧な判断ではなく、「決断する勇気」が、管理者の力になる。
問い直すべきは、
“誰が悪いか” ではなく、
“自分は、何ができるか”。

スタッフが悪い。
制度が悪い。環境が悪い。
原因を探すには、必要。けれど、そこで思考を止めると、状況は何も変わらない。

自分には、何ができるか」
― この問いだけが、組織を前へ進めていく。
― 想いが、伝播する
本当に危険なのは、
“誰も、何も言わなくなること”。
意見
意見が言える。違いを話し合える。
必要な議論ができる。
― それが、本当に強い組織。
対話の先にしか、組織の成長はない。
だから、耳の痛い話と向き合う覚悟を、
管理者は持つ。
Chapter04 ―第4章―
対話と、空気づくり。
― 空気は、偶然できるものではない。管理者が、つくっている。―
“理解されること” ではなく、
“理解しようとすること”。
まず、聞く。
最後まで、聞く。
途中で、否定しない。
― 管理者が話しすぎると、現場の声は静かに、消えていく。
人は、正論で 理解し、
感情で、行動する。
—動く時/Movement
自分を、理解してくれている。
応援してくれている。
一緒に、考えてくれている。
― そう感じたとき、人は動き始める。
動かない時/Resistance
信頼できない人から、言われる。
気持ちを、理解されていない。
一方的に、押し付けられる。
― どれだけ正しくても、行動は生まれない。
スタッフは、
管理者の言葉よりも、
“態度” を見ている。
不機嫌でいると、
現場は萎縮する。
諦めると、
現場も諦める。
前向きで、冷静で、建設的な姿勢が、そのまま、現場の ” 空気” になっていく。
仲良し
本音が言えない。
問題を、指摘できない。
改善提案が、出ない。
≠
信頼関係
意見が違っても、話し合える。
立場が違っても、理解し合える。
必要な議論が、できる。
管理者は、波風をなくす人ではなく ―
” 健全な対話を作る人” 。
陰で話す文化、ではなく、
“直接、対話できる文化” を。
本人には、伝わらない。
改善も、されない。
不満だけが、蓄積する。
信頼関係が、壊れる。
チームワークが、崩れる。空気が、悪くなる。
問題があるなら、向き合う。
話し合う。
改善する。
頑張る人だけを見るのではなく、
“声を上げない人” を見る。
HIGH
高い
モチベーション
QUIET
悩んでいる人
TIRED
疲れている人
UNSPOKEN
不満を
抱えている人
” 頑張る人” だけで、組織はつくれない。チーム全体に、目を行き渡らせる。
Chapter05 ―第5章―
経営を、理解する。
― 現場だけでは、現場を守れない。 ―
「現場は大変なんです」だけでは、
現場は、守れない。
人を増やすにも、給与を上げるにも、教育を充実させるにも ― 経営が要る。
管理者は、現場の代弁者であると同時に、経営の視点を、持たなければならない。
—ROLE01
現場の声を、預かる人
—ROLE02
経営の視点を、持つ人
経営は、難しいものではない。
五つの問いに、答えられること。
利用者数は、
足りているか。
稼働は、適正か。
単価は、
維持できているか。
加算は、取得できているか。
採用は、
進んでいるか。
管理者には、現場を見る目と同じくらい ― 数字を見る目が、必要になる。
経営を理解することは、
“会社のため” ではない。
“現場を守るため” である。
利益がなければ ―
1 人を、増やせない。
教育も、できない。給与も、守れない。
数字を見る目は、スタッフを守る目、そのものになる。
経営と現場のあいだに、
“翻訳する人” として、立つ。
数字。戦略。持続可能性。
— T H E M A N A G E R —
管 理 者
双方を理解し、調整し、前へ進める。
利用者様。スタッフ。地域。
現場の声を経営へ。経営の意図を現場へ。 ― 双方の翻訳者が、管理者。
Chapter06 ―第6章―
人を育てる、管理者へ。
― 本当の優しさとは、相手の未来に、責任を持つこと。 ―
管理者の役割は、
“今を楽にすること” ではない。
“未来の成長を、支援すること”。
問題があるのに、指摘しない。
成長の機会を、与えない。
失敗を恐れて、任せない。
待つ。任せる。問いかける。
時には、厳しいことを伝える。
― それは、相手の可能性を、信じているから。
責めるべきは、失敗ではない。
“考えなかったこと” である。
挑戦した結果の、失敗
考えた。悩んだ。行動した。
― それは組織にとって、財産。
考えないこと
確認しない。考えない。他人任せ。
振り返らない。
― 成長は、生まれない。
管理者が見るべきは、
“頑張っている人” ではなく、
“負荷が偏っていないか” である。
“頼まれると断れない人”、”責任感が強い人”、”文句を言わない人” に、気づかぬうちに仕事は集まる。
そして、優秀な人ほど ―― 静かに、ある日、限界を迎える。
公平とは、全員に同じ量を配ることではない。一人ひとりを見て、適切に役割を調整すること。
“人を甘やかす経営” ではない。
“人の可能性を、信じ抜く経営” である。
任せる
問う
挑戦させる
振り返る
人は、守られ続けると挑戦しなくなる。答えを与えられ続けると、考えなくなる。
Chapter07 ―最終章―
挑戦する管理者へ、
最後に伝えたいこと。
― 自立は、孤立では、ない。 ―
求めているのは、
完璧な管理者では、ない。
考え続ける人。
挑戦し続ける人。
管理者も、人。迷うことも、悩むこともある。 最終責任は、中村であり、
会社にある。だから、失敗を恐れず
―― 挑戦してほしい。
迷っても、いい。
悩んでも、いい。
失敗しても、いい。
ただ、考えることだけは、
やめないでほしい。
まるっとけあ管理者憲章
— A Charterfor Our Managers —
自立した人材が、自走する組織をつくる。